真夏のスケッチ会
7月の例会は,青梅の御嶽まで足を伸ばしました。
奥多摩川の清流を眺めながら,遊歩道から見える風景を描くのが目的です。
渓谷の風景というと余りにも広々としていて,どこから手をつけていいか分かりにくいものです。私の方から,次のような描き方の説明をしました。
1.広々とした風景の中から,橋や大きな岩,泡だって流れる水,など,最初に自分が目を留めた
ものを中心にして描く。⇒いろいろ画面に取り込んで,見えるもの全部を描こうと欲張らない。
2.下流に向かって川の流れを描くときは,「川の左岸」を上流から下流へ,水が流れる向きに描
く。 「対岸の水辺」は,その逆に,下流から上流へ戻ってくるように描く。
3.自分に近くにあるものは大きなタッチで,すこし速く描き,遠くにあるものほど小さなタッチで,
ゆっくりやさしく描く。
4.木々の緑は,みな同じではないので,緑の色違いを良く見て色を作る。明るい緑から濃い緑
へと見ていく。
5.彩色は,遠くのものから順次近くのものへと塗っていく。
6.明暗しっかり見ていく。とくに暗部の色合いを確かめる。木々の緑を塗るときも,いつもの自
分のやり方で良く使う色でない色を使ってみる。
7.ダーマートグラフで彩色してからいつもは彩色しているが,それを逆にして彩色からはじめて,
塗った色からイメージを広げてダーマートグラフでスケッチする。そういう。いつもとは違うやり
方で描いてみることも,自分の幅を広げる。
とても暑い日で,湿気も高く厳しい条件の一日でした。野外でスケッチするときは,つい描くことに集中して,周りの状況が見えなくなることもあります。こまめに水分を取って,日陰になるところで描くことが大事です。とくに渓流は,足場も良くないので,安全第一,転落などの危険の無いところを選んで描きましょう。
以前訪れたときは,このあたりの場所で数枚のスケッチ描きました。水の流れを描くときは,片時もとどまってくれない,動くものを描くので,こちらから動いて,あちこちと場所を替えて,見ることが大切です。上流から流れ下る水の流れを見ていると,瞬時も同じものはありませんが,あるパターンが見えてきます。色の違いは勿論のこと,速さが変わるところがあります。上から下への勢いを見勝ちですが,その動きに逆らうようにしている動かないものに注目するのがポイントです。
この写真を撮ったのは,6月の半ばごろで,スケッチ会をした日よりも,凡そひと月前のことです。天気もそれほど暑くなく,少し雨が降っていました。遠くの山の緑は,高く空の色に溶け合っていくように見え,何か心穏やかになるような眺めでした。
絵を描く季節や,時間,天候などの気象条件が,絵の雰囲気を大きく左右します。スケッチ会をした日は晴天の真夏でしたので,全然違った条件でした。雨の日は雨の日のように,暑いときは暑い日のように,そんな違いも絵に表現できたらいいです。
奥多摩川の流れるこのあたりは,春先の新緑の季節に来ても良さそうです。定点観測ということが,絵を描く上で大事にしたいことの一つです。同じ場所で,違う季節に,時刻に,違った天候の下で描くと,今まで見えていなかったことに気づくはずです。
遠くまで出かけなくても,近場で,同じことがやれます。描くものは,私たちの身近なところに,それこそ無尽蔵にありそうです。
参加者の皆さんの作品
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